この記事は #ライブ配信アドベントカレンダー2020 の12月14日分の記事です
初めてのライブ配信を振り返ってみる
今でこそライブ配信をお仕事としてもいただく立場になったものの、実はライブ配信に取り組み始めてまだ1年も経っておりません。そんな私でもアドベントカレンダーに寄稿させていただくことになり、手練れの皆様には感謝申し上げます。
最近ではOBSだのLive Shell XだのVR-4HDだのいろいろ触るようになりましたが、当初はそれはもういかにも無知って感じで酷いものでした。黒歴史に蓋をして忘れないよう、恥を忍んで振り返ってみたいと思います。
突然のライブ配信ブームに現場は困っている
YouTubeとかzoomとか使えば簡単にライブ配信できるんでしょ?
うちもやってみたいから、君ちょっとやってみてよ。
こう言われる方が増えている印象です。確かにできれば活動の幅は広がりますもんね。
今でもよくいただくご相談ですが、
今後、自分たちでもライブ配信を覚えたい。なのでまずは本格的なものよりも、自分たちで面倒をみていけるレベル配信をお願いしたいです
こんな話を聞く機会が結構あります。現場としてはそりゃ困りますよね。
分かる〜。それ、一年前に自分が思っていたことと同じ…
私もそうでした。ライブ配信なんて単語も知らずに配信していたのがまだ1年前…無い無い尽くしの環境でした。一体何をどうやっていたのでしょうか。
ライブ配信なのに超アナログな事をしています。どんな事をするのか、ぜひ予想しながら読み進めていただければと思います。
ライブ配信の依頼が来た(来てしまった…)
依頼の内容
初めてのライブ配信は病院でのお仕事をしていた時でした。確か2019年初秋あたりだったかと思います。
10階の大会議室で研修で講師を招いて講演してもらうんだけど、キャパの都合で会場に入れない人も出てくる。4階の会議室でも見れるようにしてくれないかな。
ちょっと調べてやってみます〜(いつもかなりお世話になってる方からの依頼なので、無下にはできないな…)
当時の私のスペック
・えっ、ライブ配信って何です?
・へぇ、YouTubeってリアルタイムに動画流せるんですか?
・一応は元インフラSEなので、ハードウェア/ソフトウェア/配線などに抵抗は無い
・動画編集は不要部分のカットや演者名を字幕で入れる程度なら経験あり
なぜ私に依頼が来たのか、、、現場が相当困り果てての相談だったのでしょう。
環境
あるもの
- 古いビデオカメラ1台
- HDMI 分配器
- HDMI エクステンダー
- LANケーブル(70m)
- HDMIケーブル(1本)
- プロジェクター
- 大型スクリーン
- 50インチ級のモニターがいくつか
三脚すらない…HDMI→microHDMI変換もない…この辺りは私物を持ち込みました。
LANケーブルが70mというのがミソです。後ほど『あ〜ああ〜』をします。
条件
- 10階会議室がメイン会場で、講師も含めてMAX300名入る
- この配信を4階会議室に飛ばしたい
- 講師のPCは持ち込み(Win or Macは不明)
- 講師のPCにHDMIやVGAのポートがあるのかも不明
- スライドは開始直前まで編集するらしく、事前にはもらえない
- 講演時間は60分
- 数千円くらいなら追加で買えるかも
- メイン会場に有線LANは無い
- 無線LANは貧弱すぎて使い物にならない
- 院内のスタッフ向けで、外部公開は不要
- 参加者はオープンする会議室2ヶ所のどちらかにて視聴
- 10階会議室の窓を開けたら4階の会議室が向かいに見える
院内はとにかくネットワークが貧弱でした。しかもメイン会場となる10階会議室は有線LANが使えないという環境。なんでやねん…
当時はモバイルルーターも所持していなかったため、zoomやYouTubeLiveは使えなさそうです。
さっそく完全に詰みか…どう断ろうかな…いやしかし、どうにかできんものか…
配信構成
美しさは不要。視聴できたという結果が最重要。
・70mのLANケーブルがある
・10階会議室の窓を開けたら4階の会議室が向かいに見える
・院内限定なので、YouTube配信などは一切不要
ここに答えが見えてきました。
構成図
描いてみたらめちゃシンプルでしたwww
切り替え機もなければオーディオミキサーも無い、とにかく何も無い中で必死に編み出した方法がこれでした。(HDMIエクステンダーがあったことが奇跡)
あ〜ああ〜
そうです。LANケーブルを10階から4階まで物理的に繋げました。
10階からLANを放り投げて、4階へ移動し、会議室の窓を開けてLANを回収してエクステンダーに繋げます。
当然、ワンオペです。なんと時間のかかる接続でしょう…
しかもこのやり方は本当に正しいのか?相談相手もおらず、そこにある機材のマニュアルが友達です。
インターネット環境は使えない中、これをライブ配信と言って良いのか…という指摘もありそうですが、結果としては成功しました。
そしてなんと、10Fと4Fを繋いだ写真が残っていました。
映像は?
映像を切り替えるミキサーも無いので、ビデオカメラ1台でスクリーンを撮っています。
スライドが映るスクリーンをビデオカメラで撮ってそのまま配信すれば、ポインタの動きも見えるので、講師が映ってなくてもまだ伝わるかなと思っての判断です。
そもそも、医療系の方々はスライドにとにかく文字を詰め込む方が非常に多いです。論文をそのまんまスライドに載せるイメージをしていただいても差し支えありません。
なのでスライドだけ見せれば大体分かります。不幸中の幸いでした。
音声は?
オーディオミキサーが無いので、ビデオカメラに入力される音声をそのまま送りました。
とにかく何も無い環境なので、もはや音質不問です。場の成立が最優先です。
文句ある人は早くに来てメイン会場に入って頂戴!の精神でした。
終えてみて
無事に終わりました。この時はそれが全てでした。
かつては会場に入れずクレームもあったようで、リモート会場をオープンできたことに相当感謝されました。良かった…
LANケーブルを放り投げたり、4階からクルクル巻きながら回収するなんて経験、そうそうできるものではないでしょう。室内開催なのに雨だとライブ配信できないなんてwww
そういう意味では本当に貴重な経験でした。
ライブ配信もYouTubeも機材も、興味はなかったはずなのに
この後、同じやり方を何度か繰り返した後、さすがに見かねてかミキサーやマイクなど、ある程度の機材を揃えていただくことができました。
当初はライブ配信なんて正直言って全く興味ありませんでした。
しかしやってみると感謝されるようになりました。それはライブ配信という業務に対する感謝だけでなく、その先があります。
この先生の講演は絶対にタメになるから、みんなにリアルタイムで聞いて欲しかった。今までは300名までしか会場に入れなかった。それが別の会場でも見てもらえるようになった。リアルタイムでこんな風にみんなが学べる機会を増やしていけば、この病院はもっと良くなる。本当にありがとう。
ジ〜ン…(感動)
こういうことを言われてしまうと、やる気が溢れてきます。
噂が噂を呼ぶ
医師同士の噂が広がり、ライブ配信や関連の依頼が院内で増えました。
今年の4月には新人研修をライブ配信を使って行うということも実践しました。
zoomでのWEB会議を良い感じに整えたり(病院スタッフでzoomを知っている人は皆無でした)、OBSを駆使したり、YouTubeを活用したり、一般向けの講演配信を企画したり…
結局、病院業務の片手間での対応なので時間は多く割けませんでしたが、アナログすぎてライブ配信なんて縁のない世界と思っていても、知ればやりたいと思う人は多いんだなというのが大きな気付きでした。
自分たちでできることもたくさんある!
私は今でもまだまだ知識不足です。そんなことは私が一番分かっています。
『とにかく私たちにもできるレベルの配信を』という要求の心理も痛いくらい分かります。
ライブ配信はプロフェショナルがするもの、という固定概念はまだまだあるかと思います。そこを崩していきたい。
もちろん、画質や音質を高める勉強もしつつですが、ライブ配信の 0 → 1 のご支援をもっとしていきたいと思います。
これなら自分たちでもできるかも!
ぜひチャレンジしてみましょう!ご支援します!!
まさかこんなにライブ配信に携わる事になるなんて、1年前は想像もしてませんでした。
本当に人生どうなるか分からないものです…笑笑
最後はお片付け
デジタルなのにアナログなライブ配信でしたが、最後はお片付けです。
4階に繋いだLANケーブルを10階から引っ張り上げて巻き巻き巻き巻き巻き巻き…
講演会は19:00までとかなので、真っ暗の中1人で巻き巻き巻き巻き巻き巻き…
今となっては良い思い出です。ここでネタにできて良かったですww